Bar_Sepia

 

重いドアをゆっくりと開ける。

その空間とそこで過ごす時間が好きで、ときどきふっと行きたくなる・・・。

最近はディナーや会食のあとに2次会としてカラオケやバーに行く機会が減ったという声をちらほらと耳にする。しかし、私はなんといってもゆっくりとアルコールを楽しめる“バー”に行くのが好きだ。お気に入りのお店も数件あるが、最近は新しいお店を開拓することにはまっている。

最初の一杯目は必ずギムレットをお願いする。個人的見解だが、ギムレットほどバーテンダーの腕の差が出るカクテルはないんじゃないかと思っている。そこで自分の舌にあうかどうかを判断するわけだ。懲りずに何年もそれを続けているとなんとなく自分の好みがわかってくるようになる。ベースであるジンの種類を変えたりして楽しむのも醍醐味である。

さらに楽しめるのがカクテルを作るときの所作だ。一流と呼ばれるバーテンダーの方ほどひとつひとつの動きに無駄がなく流れるようで美しい。ボトルのキャップを開ける手つき、氷をカットしていく姿、リキュールを注ぎ込む様、シェイカーを振る動作、グラスに注ぐ所作、グラスを目の前に置いてくれるまで・・・枚挙にいとまがないが、まるで芸術作品を作り上げる瞬間を目の当たりにしているようだ。

バーテンダーとたわいのない会話を交わすのもバーを楽しむひとつの要素だ。素敵なバーテンダーはコミュニケーションの「間」の取り方がうまい。こちらが話したいときにはすっと近寄ってきたり、そうじゃないときは上手く距離をとってくれる。そのバランスが良いバーは居心地がいいという言葉がしっくりとあてはまる。

良いバーを見分けるコツはありますか?と聞かれることがたまにある。バーの楽しみ方は人それぞれなのだが、そのバーがこだわりを持っているかどうかを見分ける方法を二つこっそりとお教えする。

「ジンジャービアはありますか?」

実はジンジャービアは日本ではなかなか手に入りにくいのだ。ジンジャービアを使って銅マグに注がれたモスコミュールは絶品である。これが体感できるバーは間違いないといって過言ではない。

「シガーは置いてありますか?」

シガーはしっかりと保存管理をする必要があり、シガーセラーやヒュミドールを完備しているところはお酒の状態を保つことにも気を配っている素敵なバーが多い。

最近もそのバーに伺ったのだが、シガー初心者の友人に優しくお勧めいただいたのが新作の「La Aroma del Caribe《Mi Amor》」だ。ここのところ非常に注目されており人気も出ているニカラグア産のシガーで、すべてハンドメイドで少量生産なのが特徴である。サイズはロブスト(127mm)、デューク(133mm)、ベリコソ(140mm)の3種類。入口はスムーズなのだが吸うにつれて芳醇でしっかりとした味わいも感じられる。

心の余裕と時間の余裕、そこにシガーとともに過ごす素敵なときを。